埋め立て前の「千葉の海」を伝えたい−−「人と時代」語る写真を募集 

 ◇埋め立て前、懐かしいあのころ

 ◇「人と時代」語る写真を、カメラマンの早坂卓さんらが募集

 千葉市で大規模な埋め立てが始まる前、身近な海と親しんだ時代や家族を写真や文字に残そうと、プロカメラマンの早坂卓さん(48)=同市花見川区幕張町=らが「海の記憶プロジェクト」に取り組んでいる。地元に残る写真は少ないため、東京の下町や他県の住民が、レジャーや団体旅行の際に撮った写真の発掘に力を入れるのが特徴だ。【堀井恵里子】

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 早坂さんは幕張町で育ち、潮干狩りや魚取りを楽しんだ。しかし同市内の海岸線は、60〜80年代半ばに約34平方キロが海から陸に変わった。「自分の寂しさもあるし、埋め立てで海を失い泣く泣く去った人もいるだろう。それを知らせないと」と、写真という伝達手段を持った「責任」を感じ、プロジェクトを企画した。

 こだわっているのは「力のある写真」を探すこと。「記録写真でなく、家族のきずな、時代の何かが伝わる写真」と早坂さん。「地元の人には海は日常だったせいか写真は少ない。でも、東京の下町から京成線に乗って潮干狩りに来た人、茨城や栃木からの修学旅行客、千葉のノリ問屋に多い信州の人なら、そうした写真が残っているのでは」と狙いを絞り、訪ね歩く予定だ。

 ◇ネット上で紹介も

 協力者も現れた。埋め立て地、幕張新都心の情報をインターネット上で紹介するウェブマガジン「幕の内」を運営する村井亮介さん(49)や木藤瑞穂さん(31)らで、「海の記憶写真館」のページを開き、集まった写真から紹介を始めている。村井さんは「写真集は完成品だが、インターネットは発掘した写真をニュース的に載せられ、アクセスした人から違う写真が提供されるのでは」と双方向の動きに期待する。

 プロジェクトの目標は、来春ごろの写真展開催や写真の提供者にインタビューしたルポと写真集の発刊。